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2008年4月26日

「『ねこタン』問題」カテゴリを作った

実は少し前に作って、エントリ移動済み。

Dun Cait: 『ねこタン』問題アーカイブ


と、これだけではネタ的に寂しいので、何故自分がこの件を問題視し、観察日記を続けているか、手短に書いておこうと思う。埋め草ってやつ。


私が一番怒っているのは、マーケティングコストをケチるためにネットコミュニティを踏みにじったこと。

マーケティング業界には、新規ユーザを1人獲得するのに幾らかかるか、という集客コストの目安がある。これ結構高いんだわ。広告ってのは、マンボウの卵みたいなもので、ばら撒いてばら撒いて客をたくさん集めて、1000人2000人に1人しか定着してくれない世界だから。(だから、比較的安上がりな上に費用対コストが可視化される検索エンジンマーケティング、所謂SEMがもてはやされたりしてるんだわ。これも広告代理店が群がってきてどんどん金かかるようになっているけど :-p)

で、この本は、明らかに、画像を盗用することによって、初期集客コストを圧縮した。

そう考える理由として、ペットうp板の議論スレに書いたことを引用しておく。

元々、編プロなど外部の暴走を版元がチェックできなかった可能性を考えて、 ドメイン情報をチェックしたんですよ。
そしたら、大洋図書名義で取得していて、しかもいきなり3年契約。

ああ、これは最初から会社としての企画で、しかも長く続ける気だな、
第1号のための投稿を集めるのが最も大変だから、ネットの荒波で選りすぐられた
画像を盗用して客寄せ号を作って、投稿バンバン呼び寄せてシリーズ化する
肚だなと理解しました。

※「neko-tan.com」ドメインのことね。

コンビニで手に取って喜んで買っちゃう人、『ねこタン』サイトにアクセスする人、自分ちの猫の画像を投稿する人、これらの獲得に、盗用された画像、および、盗用されたコメントの果たした役割は小さくない。ぶっちゃけ、丸々全て盗用物のおかげだよね。

今回獲得できた客の数を、通常のマーケティングコスト計算式に当て嵌めたら幾らになると思う?
部数とか投稿者数がわからないから、私には計算できないけど。


結局カネの問題かって? 違う。私は今回の著作権侵害の直接の被害者ではないもの。
通貨はあくまで、世の中の色々な物事の手間とかありがたみとかそういうものを数値化するための仕組み。
カネをケチったってことは、そのカネに換算できる程度の労力――今回だと、画像掲載の許諾取り付けとか、そのための著作権者探しだとか、そういう、元画像を取り巻く色々な人たちに筋を通すことが、宣材制作コストって言っていいよね――をケチったっていうこと。


出版業界とネット業界で足掛け20年近く過ごしてきた(そしてB2Cモデルの大変さを知っている)自分には、この不誠実さが堪らない。

もちろん、6年来ペットうp板に出入りしてるから、憩いの場を踏みにじられた一人でもあるね。


一方で、何度か書いている通り、こういった「携帯 + コンビニ本」のようなあり方を必要としている人達は存在する。そうした人達を掬い取って貰いたいとも思っている。

今の出版業界には、誠実な手段で集客できるだけの体力が無くなっているって言いたいのかも知れないけど、頭使わないで泥棒商売やってる限り、ずっと裏街道だよ。

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コメント(5)

コストをケチる=費用を抑える、労力をケチる=人件費を抑えるっていうのは、至極当然のことじゃないですか? 確かに太陽図書は完全に法を犯しているけど、なんだかあなたの個人的恨みからこの記事を書いている風に読めてしまうんですよね。それにドメインだって、編プロからの提案でサイトを挙げるときは、版元が代行してサイトだけ立ち上げることだって全然珍しくないですよ。

なんというか、失礼を承知で言わせていただくなら、ここでこんなチマチマと匿名記事を書いているくらいなら、しっかりとまとめて文春にでも現代にでも持っていったほうが効果的だし説得力もあると思うんですよね。どうやら出版関係の方のようですし、ライティングもできる方のようですし。

それから、ネットで拾った画像で一冊本を作るというのは(これは完全に法に触れるし、そんなことをする版元を擁護するつもりはさらさらありませんが)、残念ながらいくらでもやられていることです。有名な版元でもやっています。今回はブームに便乗した猫を用いたことでこうして問題とする声が多くあがってしまっていますが、これはこれで版元が今の状況を打開するための苦肉の策だと私は思います。まぁだめですけどねこんな策とっちゃ。

長くなりましたが、ここでゴニョゴニョ言っていても結局は「匿名ブログユーザーの独り言」の範疇を出ませんし、ねこタンの版元にとっても「うるさいクレーマー」程度にしか思ってもらえないと思う、ということが言いたかったのです。

失礼致しました。

そうですね、仰ってることはその通りだと思います。

ただ、今回の問題を個別事例として紙媒体に持って行くのは、弱いだろうなと思っています。紙媒体はネットに随分喰われてしまっていますが、画面の狭い携帯となら、PCとよりは仲良くできそうな気がしている。(ケータイ小説みたくテキストベースならともかく、猫は画像が大事ですからね)
ネットと紙媒体との全体的な流れの中で、各論と総論のバランスを取って論じたいテーマのような気がしています。

そもそも、喰われている側に出そうとしても、出す方も読む方も「ふーん」で終わりでしょう。

「法に触れる」という部分についても、これまたネット社会とリアル社会の両方から考えないといけないテーマですしね。
従来、TVや雑誌のような既存メディアはネットに無断転載されるばかりの側でしたが、最近はネットから種取りする事例が増えている。そんな流れの一環として捉えることもできるだろうと思います。

コストについては、削っていい部分と削っちゃいけない部分があって、今回のように、猫好きに売り込むために別の猫好きを踏みにじるというのは、やり方として疑問です。ただまぁ、踏みにじられた場の住人ですから、個人的恨みとの誹りは甘んじて受けます。

でも、叱咤の言葉ありがとうございます。今後の持って行き方を少し考えてみます。

初めまして。
法律の話は難しいですが、
法が犯されると弱い者が泣くということはわかりました。

主様はじめまして。

過去、主に2ちゃんねる方面で起こった同様の事例をいくつか見てきましたが、
事後策にせよ短期間のうちに出版社側から著作権料を支払うという意思を引き出させたのは、
過去の例に照らすと実は大きな前進なのではと思ったり。

遅くなりました。来訪ありがとうございます。

コメントへの返事をつらつら書いていたら、何だか独立エントリにした方がいいような気がしてきたので、エントリ立てます。

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この記事について

このページは、widtariaが2008年4月26日 19:00に書いた記事です。

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